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2015年10月5日のアーカイブ

逆転結露と通気層 その2

前回のまとめです。

壁体内において

冬 外壁側での結露が一般的な結露

夏 室内側での結露を、逆転結露

と分ける事が出来ます。

その上で、

冬の結露原因は、室内側から入ってくる湿気

夏の結露原因は、屋外(通気層)から入ってくる湿気

と言う話をしました。

 

一般的な結露に関しては、鉄板の対策があります。

それが「室内側の気密シート」です。

だけど逆転結露においては、その気密シートが仇に・・・

だからザバーンに変えましょう。

まとめ終了。

 

CACICO的な所感から

まず、冬の結露対策は正しいです。

室内の湿気が壁体内に移動するのを止める気密シート。

室内の快適(加湿したい)、壁体内の快適(温度が低いので湿度が不要)の

両方にとって◎。

問題は夏の結露対策です。

壁体内の湿気を可変透湿気密シートで、結露する前に室内側に移動させる。

となると、

室内は不快(ホントは除湿したい)、壁体内は快適(湿気が無くなる)と、

メーカーの見解通りだとしても、片方だけしか良くない。

 

建物が長持ちするのは有り難いが、室内に湿気が入ってくるのを「良し」とする人は

少なくとも夏が高温多湿のうどん県には居ないでしょう。

でも仕方ないんですよ、「壁体内に湿気があるんですから」どうにかしないと家が腐りますよ。

 

・・・さて、ここで出てくるのが他メーカーです。

「お宅の透湿シート、湿気を入れすぎじゃね」と言って透湿性能を絞ったモノを発売する会社が。

それがダウ・ケミカル社のウエザーメイトプラス(ブログで取り上げた事があります)

以前は「一方向だけの透湿性能を有す」と理解していましたが、正しくは、透湿性能を低く押さえた商品。

解説文章が変わった気が・・・

メーカー(並行輸入なので、正しくは輸入代理店)の主張は、

"水蒸気の透湿性は、結露による壁体内の腐敗、劣化を招く可能性のある、壁体内の水分の発生を減少させます。ウエザーメイトプラスは冬場は壁体内の水分を外に逃がし、夏場は外からの水蒸気侵入を調湿し抑えます。一般的なハウスラップの高い水蒸気透湿性数値は、夏場の外からの過度の水蒸気透過により壁体内の環境を悪化させる可能性があります。水蒸気の透湿性は季節を問わず躯体内の健全性を維持する、調湿のバランスが重要と言えます。"

と言う事です。必要なところだけ引っ張ります。

冬場は壁体内の水分を外に逃がし、         ←これはOK

夏場の外からの水蒸気侵入を調整し抑えます。   ←これは「?」

輸入代理店が発表しているデーターを見ても、透湿性能が低いだけ。

 

透湿性能が低いから、夏場の水蒸気侵入は(他社と比較すると)少なくなりますが、

だからと言って調湿している訳ではありません。

逆に透湿性能が低いのですから、冬期における性能は(他社比較で)落ちます。

つまり

「冬を犠牲にして、夏の性能を上げた」

と言う事なんですが、営業的には、書けなかったのでしょう。

調湿のバランスが重要

という不思議な言い回しにご苦労を感じます。

 

で、ここからが問題提議なんですが、

通気工法って、もうメリットないのでは?

:現在、日本の木造住宅の大部分が通気層工法ですが、

その歴史は結構短いです。長くて30年ぐらい。

で、なぜ通気工法が出来たかというと、雨漏りなんですね。

この辺りは、タイベックのHPにも出てきます。

関係カ所を引っ張ってみると

住宅事故で最も多い壁の漏水。しかし、タイベック® ハウスラップを採用した通気層構法が広まったため、その数は減少したと言われております。通気層構法は、万一の外装仕上げ材等からの雨水浸入に対しても、適切に排水することにより、壁の防水性を高めた構法のひとつです。

通気層工法が始まる前は、直貼り工法だったのですね。

外壁と下地の間に水を通す空間を作ったのが、通気層工法。

さて、通気層工法のメリットを上げます。(タイベックのHPから)

①外装材からの熱を直接躯体に伝えない

②湿気を排出し結露を防ぐ

③浸入した雨水を排出する

 

まず前提条件を知って下さい。

この利点は全て

比較の相手が、直貼り工法なんですね。

先述したとおり、戦後の住宅は直貼り

つまり、透湿しない防水シートを貼ってからの正面釘打ち。

通気層工法の利点とは、直貼り工法と比べた利点なのです。

 

さて非通気工法のCACICOとしては、通気工法の問題点を挙げざるをえません。

 

通気層の中は「外部空間」なので、普通に屋外の環境。

つまり外壁が2重にあるのと同じ。

外側の外壁は、それなりに費用がかかっていますが、

内側の外壁(透湿シート)は紙一枚。

しかも「シート&外壁」を固定する為の穴がたくさん開いている状態。

 

言葉は悪いですが、見えない所だからこんなモノで良いって感じですね。

 

唯一(?)の利点が高い透湿性だったのですが、

それが逆転結露の温床となってしまうのであれば、

現代において通気層工法のメリットって残っていない気がします。

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