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理想の基礎断熱を考える その7
- 2017年10月27日 11:37 AM
- CACICOBASE
ここで少し白蟻への備えについての現状を。
日本においては駆除に力点が置かれてきました。
何故かと言うと日本の防蟻剤は有機系薬剤だったからです。
農薬とか殺虫剤だと考えてください。
有機系薬剤には寿命があり、これが問題なんですね。
防蟻剤の成分は5年で揮発・分解してしまい効果が切れます。
(以前はもう少し長持ちであったが、毒性が強くて短縮されたみたい)
つまり、定期的に防蟻処理をして短い保証を付ける。
というビジネスモデルが確立しているのです。
その前提で足元の断熱を考えると、ちょっと基礎断熱は選べないです。
何せ床下は土壌性白蟻の通り道だから。
そこを室内空間にしてしまったら、定期的な防蟻処理が出来なくなります。
有機系の防蟻薬を使うには、床下を室外とする床断熱が必須なんですね。
さて、ここで一つ疑問があります。
家を新築された方は、5年に1回防蟻工事をしているでしょうか?
これは想像の域を出ませんが、定期的にする人は限られる気がします。
多くの人は白蟻の発見、つまり蟻道を見つけてから白蟻駆除をしているのでは?
結果として
白蟻は、度々に駆除するものという意識が強いのですね。
理想の基礎断熱を考える その6
- 2017年10月23日 3:30 PM
- CACICOBASE
前回は基礎内断熱を取り上げました。
前回、ホウ酸は直接駆除が出来ない。と書きましたが、高濃度ホウ酸であれば可能だと教えて頂きました。
間違った情報を掲載してすいません。
残るのは、内断熱の裏側に潜む白蟻駆除のために断熱材の撤去がとても大変。と言うことでしょうか?
さて今回は外断熱です。
白蟻の侵入が最も容易で、外周のどこからでも入り放題です。
白蟻駆除業者が「外断熱はダメ」って言うのが良く分かります。
確かに非防蟻の断熱材を後貼りしたら、白蟻の餌場を作ったようなものです。
で、ここからが考え所。
白蟻だけを考えたら、床断熱が最も適しています。
だけど温熱環境や鉄筋コンクリートの長寿命という意味では、外断熱が有利。
このジレンマを解決する努力をやってみます。
以前も書きましたが、現在の基礎外断熱の最低条件は、防蟻断熱材の基礎打ち込み工法。
基礎打ち込みとは型枠に断熱材をセットしてコンクリートを打設し、基礎と断熱材を一体化させるのです。
鋼製型枠の内側に断熱材をセットして、そこにコンクリートを流し込んでいます。
これで断熱材とコンクリート間の空隙が無くなり、蟻道として使う事が出来なくなります。
また、防蟻断熱材自体も継ぎ手が発生しますので、防蟻コーキングを打ち込みます。
ここからはオリジナル。先程の最低条件に上乗せする仕掛けです。
まずは防蟻断熱材の割り付け。
610mmの断熱材に、40mmの断熱材を組み込んだ樹脂笠木(h=50)を組み合わせています。
各、継ぎ目がズレるように設置出来るようサイズを検討しました。
仮定の蟻道、と言うやこしい表現をしていますが、
これは何らかの理由で白蟻が防蟻断熱材に侵入したら?という意味で仮定と呼んでいます。
断熱材の上部には、物理的防御として樹脂笠木を設けています。
その部分を拡大してみます。
青のラインが樹脂笠木です。
笠木に阻まれた白蟻は断熱材の外に出るしかなく、そこに蟻道が露出されるのです。
樹脂笠木と土台水切の間の20~30mmを確認することにより、白蟻の侵入を発見できる仕掛けです。
ポイントとしては、土台の水切り板金より下に伸びるサイズにしている所。
これで白蟻が防蟻断熱材を突破したとしても、防蟻笠木で塞がれ一度基礎の表面に出ないと木部に辿り着けないのです。
理想の基礎断熱を考える その5
- 2017年10月13日 4:05 PM
- CACICOBASE
前回のまとめ。
木造住宅の白蟻対策は
①蟻道を隠蔽させない
②蟻道を見つけたら駆除をする
というものです。
なにか、モグラ叩きみたいですね。
この問題はいったん保留して、引き続き基礎断熱を検討してみます。
今回は内断熱。
外部に関して言えば同じですが、内部は厳しいです。
基礎の内断熱は、立ち上がり&外周に面する1mの床面を断熱材で覆う工法なのですが、
これは基礎完成後の後貼り工事ですから、完全密着は出来ません。
つまり、基礎コンクリートと断熱材の接着面は蟻道の最適空間になってしまうのです。
コンクリートの打ち継ぎ部やスリーブの隙間から入る確率は、面積から考えれば少ないですがリスクはリスク。
この対応策は、防蟻コーキングか防蟻ウレタンしかないのが現状です。
施工ポイントは下記になります。
下3つ、基礎内部への侵入ポイントを処理するのは当然です。
一方、断熱材上部と基礎天端の処理は、必要と言えば必要なのですが、ちょっと負け戦っぽい感じです。
この位置まで白蟻が到達している=基礎内部に侵入を許している。
戦で言えば、城壁を越えられているが、本丸には達していない戦況ですね。
で、問題なのは、
基礎内断熱経由の白蟻駆除は、とても困難なのです。
基礎内断熱の一番のリスク。
白蟻は断熱材の裏側を移動しているので、どこにいるかの把握ができない。
(蟻道が隠蔽されているので当然ですね)
理想の基礎断熱を考える その4
- 7:57 AM
- CACICOBASE
前回までをザックリまとめます。
白蟻の蟻道対策として、
防蟻断熱材+継ぎ目を千鳥に配置+防蟻笠木による物理障壁
を行いました。
ここで一度、白蟻予防の原点に立ち戻ってみます。
白蟻予防に適している基礎断熱とは、以前も書いたとおり
隠蔽箇所に蟻道を作らせない事。
これを説明するために、まずは現状の把握からです。
日本の新築の半数以上は今だに床断熱住宅。
で、床断熱の住宅に白蟻の被害が無いかというと、そうではありません。
床断熱で断熱材が蟻道にならないのは、
白蟻が木材に達する間に断熱材が存在しないからに過ぎません。
白蟻の進入路を図示してみました。
土壌性白蟻は、土中に巣を作って餌場との間を行き来します。
床断熱の場合、基礎は中・外コンクリートです。
外側は当然基礎の立ち上がりを登ります。
また、コンクリートの打ち継ぎやスリーブの隙間から内部に入る可能性あり、
内部に入った場合も、やはり基礎の立ち上がりを登ることになります。
白蟻が木材に辿り着くためには、コンクリート表面に蟻道を作るしかないのです。
コンクリートの表面は、蟻道無しでは登れない。
住み手は、この蟻道を見つけることによって白蟻の侵入に気づける。
で、気づいたら駆除が出来る。
これが床断熱、いえ木造住宅の白蟻対策なのです。
理想の基礎断熱を考える その3
- 2017年10月6日 9:54 AM
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前回、捨てコンが水平じゃないと大変。
という話をしましたが、解消する方法もあります。
どちらかと言えばそちらが主流のようなので、まずその説明を。
方法は至ってシンプル、少し大きい断熱材を設置するのです。
で、型枠を外してから、はみ出した上部を切断する。
断熱材はスチロールカッター等でカット出来るので、一つの方法だとは思います。
さて、ベースの精度を確保した場合の施工に戻ります。
第1段目の610mmをセットした後は、防蟻笠木を取り付けます。
長さ2730mmの樹脂笠木で、厚み40mmの防蟻断熱材を仕込んでいます。
実物写真をどうぞ。
断熱材無しの写真もついでに。
こちらはカットサンプル用なので透明ですが、実際は断熱材と同じ白色です。
現場の写真です。
まずは接着目的の防蟻コーキングを塗ります。
最初の笠木を取り付けます。
この時、つなぎ目に当たる断熱材を少し短くするのがポイント。
次に断熱材だけを差し込みます。
押し込む感じになりますが、笠木の巾に余裕があるので簡単です。
断熱材を差し込んだ後に笠木を嵌め込みます。
こんな感じで、接合部が綺麗に収まります。
最後に完成した写真を。
すっきりとまとまっていますね。
施工のイメージ図と特徴です。
第一弾の断熱材は2440mm、第二弾は910mmなので、継ぎ目が揃わないサイズ設計です。
また、防蟻断熱材・防蟻コーキングだけに頼るのではなく、
樹脂笠木という物理障壁を追加して、対白蟻の防御能力を高めています。
理想の基礎断熱を考える その2
- 2017年10月5日 11:36 AM
- CACICOBASE
前回のまとめです。
外断熱の蟻道化を防ぐための方策は
①断熱材自体 → 断熱材を防蟻断熱材にする
②断熱材とコンクリートの隙間 → 断熱材とコンクリートを完全に密着させる工法の導入
③断熱材同士の継ぎ目 → 断熱材の継ぎ目は、防蟻コーキングで埋める
でした。
と言っても、これは必要最低限の仕様。
これからどれだけ積み上げるかが大切ですね。
写真は基礎工事の初期段階、捨てコン(捨てコンクリートの略)施工後の状態です。
黒く線が引かれていますが、これが基礎の立ち上がりが来る場所。
で、これだけ見ても分からないですが、この捨てコンの精度がとても重要。
精度とは、どれだけ水平であるかです。
一般的な基礎施工においては、ここの水平精度は、ある一定の範囲内に留まればOKなのです。
極端な話、底部がどれだけ凸凹だったとしてもコンクリートは液状なので、
仕上がり面の水平は、自然に保たれるから。
ただし、外断熱の場合は別です。
底部が凸凹だと、断熱材の上端が水平にならないのです。
断熱材を、外周型枠に設置している所です。
断熱材の継ぎ目は極力減らしたいですから、できるだけ大きなサイズが良いですね。
こちらの現場は4×8(1220×2440)板から切り出した2440×610というサイズを使用しています。
ワイド方向としては、最大サイズです。
ここで、基礎形状に関して説明します。
基礎の断面図です。
基礎はGL(地面)より上と下があり、上部を立ち上がり、下部を根入れと言います。
今回の基礎は立ち上がりが400mmで、根入れが250mm。
基礎高は二つの合計である650mmとなります。
(住宅の基礎高としては、標準的か、少し短いかも)
一方断熱材の規格は、3×6(910×1820)か、4×8(1220×2440)なので、
材料の取りが悪い為、工夫をこらすポイントです。
このネタは、少し後で取り上げます。
さて前述③で上げたように、継ぎ目の隙間は蟻道の温床。
なので接着面には防蟻コーキングが必須。
写真は小口全体ではなく、内側を中心にコーキングを塗っています。
これは全面に塗りつけると、接着時にコーキングが外部にはみ出てしまうから。
内側にはみ出るのは良いですが、外側の場合は型枠にくっついて、脱枠作業時にトラブルとなります。
コーキングの接着力がすごいため、型枠が外れず、場合によっては断熱材が千切れます。
なので外側にはみ出ないようにしているのです。
型枠側にガムテープを貼って養生する方法もありますが、
脱枠後に外側からコーキングを塗り足す方が確実に隙間を埋める事が出来ます。
まずは、610の断熱材を設置して、次に進みます。
理想の基礎断熱を考える その1
- 2017年10月4日 3:35 PM
- CACICOBASE
久しぶりにブログを再会します。
基礎の断熱は、内断熱より外断熱の方が有利。
と言うのは、建築業界の(勝手な)常識です。
これは鉄筋コンクリートの断熱方法は、内が良いか外が良いか?という問答と同じ。
そうは言っても、一般的な鉄筋コンクリートの建物は、ほとんどが内断熱。
何故か?
大きくはコストの問題なのでしょうが、
仕上げはタイルでなければいけない。という決めつけも大きい気がします。
マンション → 高級感が必要 → タイル仕上げ
という流れですね。
地震多発国で、このタイル信仰は困りもの。
タイルって個々がバラバラで接着しているのですから、剥落のリスクが高いのです。
脱線してしまいました。木造住宅の話ですね。
木造住宅と言っても基礎は鉄筋コンクリート造。
ですが有り難いことに、基礎仕上げにこだわる人は少ないですし、
基礎の立ち上がりは面積自体が少なく、コストアップの要因にもなりません。
では、なぜ基礎の外断熱が増えないかと言えば、
木造住宅ならではの問題があるからです。それが「白蟻」。
白蟻対策への不安が、基礎の外断熱化を阻害しているのです。
まず白蟻の問題点を整理します。
基礎に関係する白蟻は、ヤマトシロアリ、イエシロアリという土壌性白蟻です。
アメリカカンザイシロアリという名前をお聞きになった方もいるかと思いますが、
「カンザイ」を漢字で書くと意味が分かります。
乾材、つまり乾燥した材料の略なんですね。
白蟻は大きく2つに分類されます。
土壌性白蟻 水分が必須、乾燥下では生きられないため、巣は土中
乾材性白蟻 乾燥した木のわずかな水分で生息可能。巣は木の中
日本(本土)には本来、土壌性白蟻しかいなかったのですが、
乾燥した木の中で生息できる乾材白蟻が、木材に紛れて入った来たという経緯があります。
で、乾材性白蟻の話はここで終了です。
先述した様に、土壌性白蟻は土中に巣を作ります。
なので必然的に巣と餌場、つまり基礎の表面を行き来します。
なのですが、土壌性白蟻は乾燥や光に弱いため、
外部環境から身を守るトンネルを作って、その中を通ります。
そのトンネルを蟻道と言います。
写真で雨だれの様に見えているのが蟻道。(PrakenのHPより)
この蟻道を早期発見する事により、白蟻の被害を最小限に抑える。
これが従来の白蟻対策であったのですが、
初期の基礎外断熱では、この理屈が通用しませんでした。
白蟻が断熱材の中をくり貫いて、つまり断熱材を蟻道にして、餌場を行き来したのです。
具体的には、
① 断熱材自体
③ 断熱材同士の継ぎ目
外から発見されずに白蟻が建物内に侵入できるルートがたくさん出来てしまったのです。
なので、項目毎に対応策が出てきました。
① → 断熱材を防蟻断熱材にする
② → 断熱材とコンクリートを完全に密着させる工法の導入
③ → 断熱材の継ぎ目は、防蟻コーキングで埋める
という感じです。
次回はもう少し突っ込んだ話をします。
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