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2015年9月17日のアーカイブ

風通しの必要性

住宅と外気の関係で出てくるのが、換気と通風(風通し)です。

さて、この2つは何が違うのか?

「自立循環型住宅への設計ガイドライン」というお堅い本によると、

目的は

換気 → 空気環境の改善

通風 → 室温上昇の抑制や冷房消費エネルギーの改善

でした。必要な時期は

換気 → 通年 

通風 → 必要な時

最後に、どれくらいの風量が要るかというと

換気 → 0.5回/1時間 目安

通風 →   2回/1時間 以上

換気は部屋の空気が2時間に1回ほど入れ替える風量。

通風は、その4倍以上ないと目的は達さない。

室温に影響を与えようと思ったら、それなりの風量が要る訳です。

 

換気は機械式なので関係ないですが、通風は自然環境に大きく影響されます。

何せ、自然を取り込もうという話ですから。

うどん県ですが、瀬戸内海に面しているため風向きはコロコロ変わります。

1日のうちでも、昼間と夜間が逆で、間に「凪ぎ」と言って風が吹かない時もあります。

地域にもよりますが、

昼間は、山→海、つまり南→北

夜間は、海→山、つまり北→南

の方向の風が吹きやすい(卓越風と言うらしい)としたら

窓はどのように配置するのが正解か?

風向きが変わりすぎて、私では良い窓の配置が思いつきません。

 

それ以前に、通風ってそんなに大切なの?という疑問があります。

もちろん「自然の風が一番」とか、「窓は開けるモノ」

と考えている人は好みの問題なので止めません。

ですが室温の抑制が目的なのであれば、
 
家が快適になれば、通風の必要性は減ります。

極論すれば
 
家が快適をキープできるのであれば通風は不要。

なのです。

 

何故こんな話をするかというと、通風に配慮した結果、

却って環境が悪くなる事例があるから。

 

事件は設計段階から。

通風を考えると、不必要な日射取得が増えるのです。

例えば個室の通風を検討します。

採光上1カ所で済む窓でも、通風となれば違う面にもう一つ必要となります。

その時、北と南に配置できれば良いですが、

部屋によっては西や東にしか設置できない事が・・・

この「西や東」の窓は遮光が非常に難しく、日射取得が確実に増えます。

  西や東の窓を勧めない理由はこちらをどうぞ。

通風目的の窓が、逆に室内の温度を押し上げるのです。

特に高断熱仕様を選択した家において、

不適切な窓配置が原因で、オーバーヒート現象が

東京以西で増えているのです。

 

引き続き使用上の問題点を。

セキュリティや強風、雨への対策は、手段があるので対応可能ですが、

外部の騒音、埃や塵の侵入、高湿度の流入は、通風とトレードオフの関係。

つまり避けようがありません。

その上熱帯夜かも知れないし、風が吹かないかも知れない・・・

という自然ならではの不確実性もついて回ります。

ですので結論を優しめに・・・

高性能住宅は、通風より日射遮蔽を優先すべき。

もちろん通風で快適な瞬間を得られる事もあるでしょう。

CACICO的には、博打にしか思えませんけどね。

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