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2013年3月17日のアーカイブ
遮熱と断熱を組み合わせる意味
- 2013年3月17日 11:35 AM
- CACICOウォール
タイトルでネタオチしているかも知れませんが、話を進めます。
外断熱セミナーから抜粋です。
以前、リフォームの世界では遮熱の工事が多い。というエントリーをしました。
実際、工場の屋根などに遮熱塗料を塗る。というのは非常に効果的だとされています。
ですが、工場というのは非常に特殊な環境です。
一年中、室内で熱を発生している状態なのですから、
「寒い」ではなく「暑い」という要望が圧倒的です。
そこは、ある意味遮熱の独壇場かも知れません。
ですが、人が生活する環境は条件がだいぶ違います。
私が以前からの疑問に
「遮熱の効果があったとして、夏は良いかも知れないが、冬はどうなの」
というものがあります。
遮熱(正しくは高反射)塗料のメーカーさんに以前質問した時には、
「理論的には説明できないけど、冬の快適性も上がっていると聞きますよ」
という(全く)よく分からない返事をもらったことがありました。
で、実証実験です。
鉄筋コンクリート(RC)のマンションの屋上(陸屋根)に、
未処理、断熱のみ、遮熱のみ、薄い断熱+遮熱、厚い断熱+遮熱
という風に、部屋ごとに分割して実験したデーターを見せてもらいました。
結論その1
遮熱のみを行った場合、冬の屋根RCの温度は、未処理のものより低かった。
遮熱とは太陽由来の熱を反射する方法なので、冬においては逆効果である。
という、理論的に分かりやすい結論でした。
で、面白かったのは
結論その2
断熱のみを行うと、表面温度がものすごく上がる。
というデーターです。
断熱をしなければ、構造体に熱が拡散するのだが、断熱の場合、表面に熱が留まる。
で、どんな弊害があるかというと、
表層材の劣化速度が、高熱により加速するとのこと。
具体的な数値だと、20年持つ表層材の場合、15年程度に縮まるらしい。
一方、(熱を反射する)遮熱のみを行った時の表面温度が一番低いとのデーターが。
先ほどの熱劣化の話で行くと、20年が25年に伸びるらしい。
で、もう一つ、断熱+遮熱だと、プラスマイナスで、20年のまま。
この辺りは、「一般の方向けに噛み砕いた例えです。」とのことですが、
雰囲気はつかみやすいです。
まとめると
遮熱は、夏場は有効だが、冬には弊害が発生する。
断熱は、一年中有効だが、夏場表層材に負荷をかける。
と言うことで、
断熱と遮熱を組み合わせると、一年中有効で、表層材への負荷も抑えられる。
が結論。
理屈ともピッタリ合う結果で、個人的にすっきりしました。
因みに、この組み合わせはあくまでも、
直射日光が当たり続ける面(主に屋根)においてです。
壁は、直射日光(放射)による熱の影響が激減するので、
遮熱の効能が著しく下がると思っていた方が良いようです。
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