- 2017年6月17日 5:47 PM
- 「かしこい家」の性能
前回は高層ビルの話でした。
なので今回は身近な話をしてみます。
木造住宅も外断熱があります。(正式には外張り断熱)
CACICOも断熱外壁ですから、人ごとではありません。
外張り断熱で火災対策を考えた場合、最も有利なのは不燃の断熱材を使う事。
不燃断熱材と言えば、グラスウールとかロックウールぐらいしかありませんけどね。
で、その2つは基本柔らかいので、充填断熱がメイン。
知っている範囲だと、ドイツのアルセコが、ロックウールをブロック状にして外断熱外壁を作っています。
日本でも発売されていますし、低燃費住宅さんは基本仕様として導入してます。
さて、そうでなければ、ロンドンの火災のようになるのか?
まずは結論から。
少なくともCACICOの外断熱システムでは、そのような事態にはなりません。
火災は、大きく分けて2種類あります。
① 室内からの出火
② 外部からのもらい火(類焼)
ロンドンのビル火災は①ですね。
BBCのイラストが大変分かりやすいです。
このような火災を表層火災と呼びます。
なかなか恐いですよね。
でもまぁ木造住宅の場合は、一階室内の火災が、表層を走って二階に行く・・・
のではなく、素直に室内側で二階に行くと思います。
なので表層火災が危険なのは、中層や高層の建物です。
もちろん木造の表層火災に問題が無いわけでは有りません。
火が外を走る為、隣家への類焼リスクが上がると思われます。
で、構造の話に戻ります。
木造住宅で、BBCの断面構造に類似しているのは、乾式施工の外張り断熱です。
構造用合板の外側に断熱材を貼って、その上に通気層、で最後は外壁。
因みにCACICOの場合は、
構造用合板の外側に断熱材までは同じですが、そこに直接モルタル被覆。
なので、BBCのイラストにあるCavity(空間)がありません。
またSWP火災のような、小口(断面)からの延焼にも対応しています。
サッシとぶつかっている所や水切りの上など、
火と接触する可能性の有る小口は、全てモルタルで被覆します。
(写真はサンプルなので着色していますが、現場では未着色)
続いて②の類焼の話を。
これ、原則的には防火認定があれば問題ない。と思っていたのですが、
仕上げが金属サイディングである場合は、不安が残ります。
それは、火に炙られて金属表面が高温になり、断熱材が着火する可能性が有るからです。
詳しくは日経アーキテクチュアの、戸建てでも表層火災の延焼は起こるを読んで欲しいです。
取り上げているのは典型的なサンドイッチパネルですが、
外張り断熱+ガルバ仕上げも似たような状態に陥る危険性がありますね。
最後に、戸建て住宅における火災への対応、
特に類焼を防ぐ、最も効果的な手法をご紹介します。
それは、電動防火シャッターの設置です。
外壁の防火性能が高いに越した事はありませんが、火は一番弱い所から侵入します。
(この辺り、断熱も同じですね)
なので、類焼対策としては、
① 電動防火シャッターに煙・熱感知器を取り付けて連動させる。
(外出中・就寝中の火災がありますからね)
② 外壁の防火性能を上げる。
の順番で導入して欲しいです。
蛇足
CACICOは、延焼(えんしょう)と類焼(るいしょう)を分けて使っています。
延焼 同一の建物で、火事が広がる事
類焼 別の建物に、火事が広がる事(もらい火)
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