- 2017年6月17日 10:59 AM
- 「かしこい家」の性能
6月14日、なのでホンの数日前ですが、ロンドンで高層住宅の火災事故がありました。
ネット情報だけでまとめると
外断熱改修した事が、火災の大規模化に繋がったようです。
外断熱建築物の火災ですが、乾式の場合、大きく2つに分類できます。
①サンドイッチパネル(SWP)火災
②外張り+通気工法による火災
まずは①ですが、SWPとは、金属板で断熱材をサンドイッチ加工した部材です。
写真を掲載すると、いろいろ問題がありそうなので、ご興味のある方は、検索してください。
中国や韓国には、この手の外断熱建築物が多いらしいです。
SWPは、表面が金属、つまり不燃なのですが、
小口(断面)側から火が入ったり、鉄板が高温度で熱せられる事で、内部の断熱材が着火してしまう。
でもって、一度着火すると、鉄板が邪魔をして、消火が出来ずに延焼が拡大するそうです。
このタイプ、実は外断熱だけではなく、色んな用途で使われています。
例えば、こんな感じ。
SWPを釣り天井に使った例です。
外壁だけではなく、天井、間仕切り壁等、いろんな所で使われているため、
外断熱専用品と言う訳ではありません。
で、この手の構造は、中に火が回ると、とてもやっかい。
もう一つの②ですが、こちらは断熱材と空気層がセットされている場合なので、
より一層危険だと思います。
中国の有名な外断熱火災であるTVCCビル火災が、この該当例。
金属の波板に断熱材が貼り付けられていて、かつ内側が中空だったそうです。
日経アーキテクチュアから転載
図面は断面の構造です。軽量化しながら剛性を高めるため、スペースフレームで中空にしています。
75mm RIGID THERMAL INSULATION と書かれているのが断熱材ですね。
日本語に訳すと、7.5㎝厚の硬質断熱材かな?
春節を祝う花火が引火して火災になったそうなのですが、この図を見て分かるとおり、
「ZINIC CLADDING SYSTEM」 ・・・中も外も亜鉛合金の鉄板に覆われていて、
壁内部の火災を消火する事は不可能です。
ロンドン高層住宅火災はどうかと言えば、下記の写真をネットで見つけました。
この図面が「正」だとすれば、
既存の躯体+断熱材+通気(排水)層+金属パネル
という構造になっています。
金属パネルと躯体の間に、断熱材(可燃物)と空気(酸素)が挟み込まれている
火災に弱い構造に思えますね。
- 新しい: 外断熱と火災の関係
- 古い: 基礎を長持ちさせるには
コメント:0
トラックバック:0
- この記事のトラックバック URL
- http://www.cacico.co.jp/blog/wp-trackback.php?p=13560
- トラックバックの送信元リスト
- ロンドン高層住宅火災を類推する - CACICOブログ より