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CACICOウォールのアーカイブ
通気層が無いという事
- 2013年12月22日 12:59 PM
- CACICOウォール
「湿式外断熱」は、まだまだ歴史が短いため、技術革新が出来るジャンルです。
塗り壁という仕上げは大変魅力的なのですが、そこに達するまでに多くの手間がかかるのも事実です。
その手間(=費用)を、減らすことが、CACICOの課題でもあります。
さて現場ではその課題に対する新しい試みを行っていますが、まずは前振りから。
湿式外断熱の肝は、防水にあります。
日本では未だ湿式外断熱において、透湿防水シート工法が主流です。
ですがCACICO仕様ではNG。
なぜなら外断熱工法は、一般の住宅と違って「通気層」を持たないからです。
通気層の有無で、漏水の危険度は、大きく変わります。
具体的には、
一般の住宅 12~15ミリの通気層
湿式外断熱 1~2ミリ程度の隙間
という差のお話です。
1センチ以上の隙間があれば、水は重力に従って落ちてくれますが、
1~2ミリ程度の隙間ではそうはいきません。
毛細管現象と言うのですが、重力関係なく、隙間に拡散していくのです。
この重力に関係なく、という所がミソです。
身近な例を出します。
「床にこぼれた水をタオルで拭く」
これ、よく考えたら説明出来ない事が起きています。
なぜなら、水が重力に逆らって、タオルに染み込んでいくのですから。
これは、先ほどの毛細管現象で説明出来ます。
タオルの繊維の隙間を「毛細管現象」によって、重力に関係なく、水が拡散していくのです。
さて、建物の話に戻ります。
壁と構造体に「しっかりとした」隙間を取らない湿式外断熱。
隙間取ったら、断熱材の意味が無いですからね。
そのために防水層の上に開く「穴」は、充填断熱とは比べものにならない程の注意が必要なのです。
防水層の上にどんな穴が開くのでしょうか?
まずは、透湿防水シートを固定するタッカーの穴です。
これは、以前もアップしましたが、本場アメリカでは対策が講じられています。
それと、外壁を固定するための釘やビスです。
この2つは「通気工法」であれば、許される「穴」です。
ですが、湿式外断熱ではその限りではない。というのがCACICOの立ち位置です。
そこでCACICOは塗り防水&接着工法な訳です。
次回は、通気工法の問題点も探ってみます。
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愛媛に出張中
- 2013年11月15日 5:12 PM
- CACICOウォール
ただいま、愛媛に出張中です。
と言っても、私ではありません。
熱線カッターです。
買ってから、現場には何度か行ったのですが、出番がなく・・・
理由は、使いたい時に、一回一回電源を入れて、暖まるのを待つ必要があるからです。
「そんな時間があったら、丸ノコ使う」
と言って、誰も使ってくれないのです。
でも、ようやっと出番が来ました。
それは、「分厚い断熱材」を使う時です。
大きいサイズもあるようですが、丸ノコは、だいたい7センチ程度までの材料をカットするための道具。
それ以上厚みがある場合は、両面から切るしかありませんが、これが面倒。
で、ようやく熱線カッターの出番となりました。
現在、松山で進行中の住宅は、外壁に10センチの断熱材を貼ります。
もちろん、壁の中にしっかりと断熱材を充填した上での話です。
柱間にセルロースファイバーを10.5センチ吹き込んだ上で、
外部には10センチの断熱材を貼る。
合計20センチの断熱材に囲まれた「家」と言う訳です。
来年には、CACICOでも外断熱に10センチの案件があるのですが、「準備が早すぎた」みたい。
なので、愛媛で経験を積んでいる最中と言う訳。
コンクリートは仕上げ材か?
- 2013年11月12日 10:54 PM
- CACICOウォール
住宅において、基礎は結構特殊な位置付けです。
なぜなら、「構造材かつ仕上げ材」の両方を担っているからです。
「基礎=構造材」
これは、誰がどう考えてもその通りです。
鉄骨造でも、木造でも、基礎だけは鉄筋コンクリートなのですから・・・
では、仕上げ材としては優秀でしょうか?
そんなことを言うと、「直島」辺りから、思いっきり批難されそうですが、
実は、あまり良いものだとは考えていません。
もちろん独自の素材感はあるので、個性的ではありますが
外部仕上げにするのは無駄。
というのが素直な意見です。
ダムだとか、瀬戸大橋の基礎部分だとか、置き換えが効かないものであればともかく、
デザインとして外装材に使うのは、お勧めできません。
それは、建物の寿命を縮めてしまうからなのです。
外断熱工法ハンドブック2003年からの転載ですが、
コンクリート構造物の寿命を外断熱の有る無し、つまりコンクリートを仕上げにするかどうかで較べています。
この図によると、
外気に直接さらされた場合の劣化開始は65年後。
外気から守られた場合の劣化開始は180年後。
と推察されています。
何と、3倍近くの差が・・・
ここまで寿命が変わるって事は、外部仕上げに向いてない。
って事ですよね。
構造材を外部環境で苛めて、何がうれしいんだか。
などと、へそ曲がりな感想を持ってしまうのでした。
あっ、もちろん内部仕上げ材であれば別ですよ。
CACISU中央公園では、室内をコンクリート剥き出しにしていますが、
それはそれで、廃墟っぽい味わいがあって良いものです。
外断熱・現場研修 in 東京
- 2013年9月24日 5:17 PM
- CACICOウォール
外断熱・現場研修のゴールが見えてきました。
山口→香川→東京というツアー日程の最後は東京の武蔵境です。
で、まずは室内でスターター造り。
スターターとは、熱に弱い断熱材の小口をモルタルで覆う作業です。
何故、スターターと呼ぶのかというと、そこから壁を貼り始めるから。
具体的には、土台水切りの上です。
研修は、いつも新しい出会いがあります。
今回の左官屋さんは、親子で仕事をしているのですが、工務店さんからの信頼は絶大。
社長さんも営業さんも、声を揃えて、「あの二人なら問題ない」と太鼓判でしたが、
その前評判通りの方達でした。
明日からは予定通り、外壁貼りに移れそうな感じで作業が進んでいます。
紙から塗りへ
- 2013年7月24日 11:55 PM
- CACICOウォール
「コンクリートから人へ」のパロディです。
って、そんな間違ったキャッチフレーズをまねる必要はないですが・・・
CACICOの外壁の特徴は、防水の方法です。
何度かお話ししていますが、改めて
外壁の防水は外壁表面ではなく、その内部で防水層を設けます。
一般的にはタイベックに代表されるような透湿防水シートを、下から上に重ね貼り。
ですがCACICOでは、塗り防水を推奨しています。
というか、これしかやりません。
理由は、
CACICO仕様の場合、防水層と外壁とのクリアランスがほとんど無いため、
「よりレベルの高い防水」が必須だと考えるからです。
一般の外壁では防水層と外壁の間に15~18mmの通気層が設けられますが、
CACICO仕様では、数ミリの隙間とほぼ静止空気で構成されています。
外断熱なのですから、その裏側に外気が流入したら意味がないのです。
前置きが長くてすいません。
CACICOとしては湿式外断熱をするのであれば、「紙から塗りへ」防水仕様を変えることをお勧めしています。
誰に?
自社では取り入れているわけですから、当然外部の人にです。
で、こちらの写真。
タイベックのドレインラップという商品です。
ご覧になるのは初めての人も多いと思いますが、湿式外断熱専用の透湿防水シートです。
ちょっとアップしてみますね。
しわしわがあるのが分かるでしょうか。
この縦じわがドレイン、つまり排水溝となる仕掛けの透湿防水シートです。
これがあれば、断熱材をビスで圧着固定しても、縦じわの隙間を、水が流れ落ちる。という理屈。
日本では多くの湿式外断熱が、このような仕様です。
で、この写真
私の提案を受け入れてくれて、
なんと!!施工終了している透湿防水シートをわざわざ外して塗り防水に切り替える決定を。
初めての工事なので、施工マニュアルはあっても、分からない事がいっぱい。
ということで、施工指導を行って参りました。
暑い最中、ご苦労様です。
続・若い力
- 2013年6月13日 11:55 PM
- CACICOウォール
昨日、特注断熱材カッターがデビューしました。
規格品は刃渡り60㎝ですが、こちらは100㎝。
CACICOが使用する断熱材は、いわゆる3×6(サブロク)と言われる
91㎝×182㎝の規格サイズを三等分したもの。
なので91㎝×60㎝。
この長辺方向をカットするには、特注が必要だったのです。
タイトルと全然絡まない話・・・ではなく、
こんな熱線カッターに代表される様に、断熱材を壁に接着する。
という作業は、ホント似た作業がありません。
作業に「コテを使う」ので、左官さんが一番近道ではありますが、
寸法をとって、裁断し、凸凹が無いように壁に貼る。
という「誰もが未体験」の作業に向いているのは、
やはり「若い力」です。
新しいものを吸収していく様は、見ていて気持ちが良いです。
彼らには、いつもこう言ってます。
「これは新しい工法だから、取っつきにくいかも知れない。
新しい事を始めるのは面倒だもんね。
でも、一度やり方を覚えたら、あんた達が、この業界で一番だよ。」
「他に出来る人がいないからね」
で、
「駐車場のコンクリート押さえても、誰も褒めてくれないけど、
住宅の外壁を塗ったら、絶対、住む人が喜んでくれるよ」
「そんな仕事が良いと思わない?」
左官の復権は、若い力で行われるのです。
遮熱と断熱を組み合わせる意味
- 2013年3月17日 11:35 AM
- CACICOウォール
タイトルでネタオチしているかも知れませんが、話を進めます。
外断熱セミナーから抜粋です。
以前、リフォームの世界では遮熱の工事が多い。というエントリーをしました。
実際、工場の屋根などに遮熱塗料を塗る。というのは非常に効果的だとされています。
ですが、工場というのは非常に特殊な環境です。
一年中、室内で熱を発生している状態なのですから、
「寒い」ではなく「暑い」という要望が圧倒的です。
そこは、ある意味遮熱の独壇場かも知れません。
ですが、人が生活する環境は条件がだいぶ違います。
私が以前からの疑問に
「遮熱の効果があったとして、夏は良いかも知れないが、冬はどうなの」
というものがあります。
遮熱(正しくは高反射)塗料のメーカーさんに以前質問した時には、
「理論的には説明できないけど、冬の快適性も上がっていると聞きますよ」
という(全く)よく分からない返事をもらったことがありました。
で、実証実験です。
鉄筋コンクリート(RC)のマンションの屋上(陸屋根)に、
未処理、断熱のみ、遮熱のみ、薄い断熱+遮熱、厚い断熱+遮熱
という風に、部屋ごとに分割して実験したデーターを見せてもらいました。
結論その1
遮熱のみを行った場合、冬の屋根RCの温度は、未処理のものより低かった。
遮熱とは太陽由来の熱を反射する方法なので、冬においては逆効果である。
という、理論的に分かりやすい結論でした。
で、面白かったのは
結論その2
断熱のみを行うと、表面温度がものすごく上がる。
というデーターです。
断熱をしなければ、構造体に熱が拡散するのだが、断熱の場合、表面に熱が留まる。
で、どんな弊害があるかというと、
表層材の劣化速度が、高熱により加速するとのこと。
具体的な数値だと、20年持つ表層材の場合、15年程度に縮まるらしい。
一方、(熱を反射する)遮熱のみを行った時の表面温度が一番低いとのデーターが。
先ほどの熱劣化の話で行くと、20年が25年に伸びるらしい。
で、もう一つ、断熱+遮熱だと、プラスマイナスで、20年のまま。
この辺りは、「一般の方向けに噛み砕いた例えです。」とのことですが、
雰囲気はつかみやすいです。
まとめると
遮熱は、夏場は有効だが、冬には弊害が発生する。
断熱は、一年中有効だが、夏場表層材に負荷をかける。
と言うことで、
断熱と遮熱を組み合わせると、一年中有効で、表層材への負荷も抑えられる。
が結論。
理屈ともピッタリ合う結果で、個人的にすっきりしました。
因みに、この組み合わせはあくまでも、
直射日光が当たり続ける面(主に屋根)においてです。
壁は、直射日光(放射)による熱の影響が激減するので、
遮熱の効能が著しく下がると思っていた方が良いようです。
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