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通気層が無いという事

「湿式外断熱」は、まだまだ歴史が短いため、技術革新が出来るジャンルです。

塗り壁という仕上げは大変魅力的なのですが、そこに達するまでに多くの手間がかかるのも事実です。

その手間(=費用)を、減らすことが、CACICOの課題でもあります。

 

さて現場ではその課題に対する新しい試みを行っていますが、まずは前振りから。

湿式外断熱の肝は、防水にあります。

日本では未だ湿式外断熱において、透湿防水シート工法が主流です。

ですがCACICO仕様ではNG。

なぜなら外断熱工法は、一般の住宅と違って「通気層」を持たないからです。

 

通気層の有無で、漏水の危険度は、大きく変わります。

具体的には、

一般の住宅 12~15ミリの通気層

湿式外断熱 1~2ミリ程度の隙間

という差のお話です。

1センチ以上の隙間があれば、水は重力に従って落ちてくれますが、

1~2ミリ程度の隙間ではそうはいきません。

毛細管現象と言うのですが、重力関係なく、隙間に拡散していくのです。

この重力に関係なく、という所がミソです。

 

身近な例を出します。

「床にこぼれた水をタオルで拭く」

これ、よく考えたら説明出来ない事が起きています。

なぜなら、水が重力に逆らって、タオルに染み込んでいくのですから。

これは、先ほどの毛細管現象で説明出来ます。

タオルの繊維の隙間を「毛細管現象」によって、重力に関係なく、水が拡散していくのです。

 

さて、建物の話に戻ります。

壁と構造体に「しっかりとした」隙間を取らない湿式外断熱。

隙間取ったら、断熱材の意味が無いですからね。

そのために防水層の上に開く「穴」は、充填断熱とは比べものにならない程の注意が必要なのです。

防水層の上にどんな穴が開くのでしょうか?

まずは、透湿防水シートを固定するタッカーの穴です。

これは、以前もアップしましたが、本場アメリカでは対策が講じられています。

それと、外壁を固定するための釘やビスです。

この2つは「通気工法」であれば、許される「穴」です。

ですが、湿式外断熱ではその限りではない。というのがCACICOの立ち位置です。

そこでCACICOは塗り防水&接着工法な訳です。

次回は、通気工法の問題点も探ってみます。

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愛媛に出張中

ただいま、愛媛に出張中です。

と言っても、私ではありません。

熱線カッターです。

買ってから、現場には何度か行ったのですが、出番がなく・・・

理由は、使いたい時に、一回一回電源を入れて、暖まるのを待つ必要があるからです。

「そんな時間があったら、丸ノコ使う」

と言って、誰も使ってくれないのです。

でも、ようやっと出番が来ました。

それは、「分厚い断熱材」を使う時です。

大きいサイズもあるようですが、丸ノコは、だいたい7センチ程度までの材料をカットするための道具。

それ以上厚みがある場合は、両面から切るしかありませんが、これが面倒。

で、ようやく熱線カッターの出番となりました。

現在、松山で進行中の住宅は、外壁に10センチの断熱材を貼ります。

もちろん、壁の中にしっかりと断熱材を充填した上での話です。

柱間にセルロースファイバーを10.5センチ吹き込んだ上で、

外部には10センチの断熱材を貼る。

合計20センチの断熱材に囲まれた「家」と言う訳です。

来年には、CACICOでも外断熱に10センチの案件があるのですが、「準備が早すぎた」みたい。

なので、愛媛で経験を積んでいる最中と言う訳。

コンクリートは仕上げ材か?

住宅において、基礎は結構特殊な位置付けです。

なぜなら、「構造材かつ仕上げ材」の両方を担っているからです。

「基礎=構造材」

これは、誰がどう考えてもその通りです。

鉄骨造でも、木造でも、基礎だけは鉄筋コンクリートなのですから・・・

では、仕上げ材としては優秀でしょうか?

そんなことを言うと、「直島」辺りから、思いっきり批難されそうですが、

実は、あまり良いものだとは考えていません。

もちろん独自の素材感はあるので、個性的ではありますが

外部仕上げにするのは無駄。

というのが素直な意見です。

ダムだとか、瀬戸大橋の基礎部分だとか、置き換えが効かないものであればともかく、

デザインとして外装材に使うのは、お勧めできません。

それは、建物の寿命を縮めてしまうからなのです。

外断熱工法ハンドブック2003年からの転載ですが、

コンクリート構造物の寿命を外断熱の有る無し、つまりコンクリートを仕上げにするかどうかで較べています。

この図によると、

外気に直接さらされた場合の劣化開始は65年後。

外気から守られた場合の劣化開始は180年後。

と推察されています。

何と、3倍近くの差が・・・

ここまで寿命が変わるって事は、外部仕上げに向いてない。

って事ですよね。

構造材を外部環境で苛めて、何がうれしいんだか。

などと、へそ曲がりな感想を持ってしまうのでした。

あっ、もちろん内部仕上げ材であれば別ですよ。

CACISU中央公園では、室内をコンクリート剥き出しにしていますが、

それはそれで、廃墟っぽい味わいがあって良いものです。

外断熱・現場研修 in 東京

外断熱・現場研修のゴールが見えてきました。

山口→香川→東京というツアー日程の最後は東京の武蔵境です。

で、まずは室内でスターター造り。

スターターとは、熱に弱い断熱材の小口をモルタルで覆う作業です。

何故、スターターと呼ぶのかというと、そこから壁を貼り始めるから。

具体的には、土台水切りの上です。

研修は、いつも新しい出会いがあります。

今回の左官屋さんは、親子で仕事をしているのですが、工務店さんからの信頼は絶大。

社長さんも営業さんも、声を揃えて、「あの二人なら問題ない」と太鼓判でしたが、

その前評判通りの方達でした。

明日からは予定通り、外壁貼りに移れそうな感じで作業が進んでいます。

紙から塗りへ

「コンクリートから人へ」のパロディです。

って、そんな間違ったキャッチフレーズをまねる必要はないですが・・・

CACICOの外壁の特徴は、防水の方法です。

何度かお話ししていますが、改めて

外壁の防水は外壁表面ではなく、その内部で防水層を設けます。

一般的にはタイベックに代表されるような透湿防水シートを、下から上に重ね貼り。

ですがCACICOでは、塗り防水を推奨しています。

というか、これしかやりません。

理由は、

CACICO仕様の場合、防水層と外壁とのクリアランスがほとんど無いため、

「よりレベルの高い防水」が必須だと考えるからです。

一般の外壁では防水層と外壁の間に15~18mmの通気層が設けられますが、

CACICO仕様では、数ミリの隙間とほぼ静止空気で構成されています。

外断熱なのですから、その裏側に外気が流入したら意味がないのです。

 

前置きが長くてすいません。

CACICOとしては湿式外断熱をするのであれば、「紙から塗りへ」防水仕様を変えることをお勧めしています。

誰に?

自社では取り入れているわけですから、当然外部の人にです。

で、こちらの写真。

タイベックのドレインラップという商品です。

ご覧になるのは初めての人も多いと思いますが、湿式外断熱専用の透湿防水シートです。

ちょっとアップしてみますね。

しわしわがあるのが分かるでしょうか。

この縦じわがドレイン、つまり排水溝となる仕掛けの透湿防水シートです。

これがあれば、断熱材をビスで圧着固定しても、縦じわの隙間を、水が流れ落ちる。という理屈。

日本では多くの湿式外断熱が、このような仕様です。

で、この写真

私の提案を受け入れてくれて、

なんと!!施工終了している透湿防水シートをわざわざ外して塗り防水に切り替える決定を。

初めての工事なので、施工マニュアルはあっても、分からない事がいっぱい。

ということで、施工指導を行って参りました。

暑い最中、ご苦労様です。

続・若い力

昨日、特注断熱材カッターがデビューしました。

規格品は刃渡り60㎝ですが、こちらは100㎝。

CACICOが使用する断熱材は、いわゆる3×6(サブロク)と言われる

91㎝×182㎝の規格サイズを三等分したもの。

なので91㎝×60㎝。

この長辺方向をカットするには、特注が必要だったのです。

タイトルと全然絡まない話・・・ではなく、

こんな熱線カッターに代表される様に、断熱材を壁に接着する。

という作業は、ホント似た作業がありません。

作業に「コテを使う」ので、左官さんが一番近道ではありますが、

寸法をとって、裁断し、凸凹が無いように壁に貼る。

という「誰もが未体験」の作業に向いているのは、

やはり「若い力」です。

新しいものを吸収していく様は、見ていて気持ちが良いです。

彼らには、いつもこう言ってます。

「これは新しい工法だから、取っつきにくいかも知れない。

新しい事を始めるのは面倒だもんね。

でも、一度やり方を覚えたら、あんた達が、この業界で一番だよ。」

「他に出来る人がいないからね」

で、

「駐車場のコンクリート押さえても、誰も褒めてくれないけど、

住宅の外壁を塗ったら、絶対、住む人が喜んでくれるよ」

「そんな仕事が良いと思わない?」

左官の復権は、若い力で行われるのです。

遮熱と断熱を組み合わせる意味 

タイトルでネタオチしているかも知れませんが、話を進めます。

外断熱セミナーから抜粋です。

以前、リフォームの世界では遮熱の工事が多い。というエントリーをしました。

実際、工場の屋根などに遮熱塗料を塗る。というのは非常に効果的だとされています。

ですが、工場というのは非常に特殊な環境です。

一年中、室内で熱を発生している状態なのですから、

「寒い」ではなく「暑い」という要望が圧倒的です。

そこは、ある意味遮熱の独壇場かも知れません。

 

ですが、人が生活する環境は条件がだいぶ違います。

私が以前からの疑問に

「遮熱の効果があったとして、夏は良いかも知れないが、冬はどうなの」

というものがあります。

遮熱(正しくは高反射)塗料のメーカーさんに以前質問した時には、

「理論的には説明できないけど、冬の快適性も上がっていると聞きますよ」

という(全く)よく分からない返事をもらったことがありました。

で、実証実験です。

鉄筋コンクリート(RC)のマンションの屋上(陸屋根)に、

未処理、断熱のみ、遮熱のみ、薄い断熱+遮熱、厚い断熱+遮熱

という風に、部屋ごとに分割して実験したデーターを見せてもらいました。

結論その1

遮熱のみを行った場合、冬の屋根RCの温度は、未処理のものより低かった。

遮熱とは太陽由来の熱を反射する方法なので、冬においては逆効果である。

という、理論的に分かりやすい結論でした。

で、面白かったのは

結論その2

断熱のみを行うと、表面温度がものすごく上がる。

というデーターです。

断熱をしなければ、構造体に熱が拡散するのだが、断熱の場合、表面に熱が留まる。

で、どんな弊害があるかというと、

表層材の劣化速度が、高熱により加速するとのこと。

具体的な数値だと、20年持つ表層材の場合、15年程度に縮まるらしい。

一方、(熱を反射する)遮熱のみを行った時の表面温度が一番低いとのデーターが。

先ほどの熱劣化の話で行くと、20年が25年に伸びるらしい。

で、もう一つ、断熱+遮熱だと、プラスマイナスで、20年のまま。

この辺りは、「一般の方向けに噛み砕いた例えです。」とのことですが、

雰囲気はつかみやすいです。

 

まとめると

遮熱は、夏場は有効だが、冬には弊害が発生する。

断熱は、一年中有効だが、夏場表層材に負荷をかける。

と言うことで、

断熱と遮熱を組み合わせると、一年中有効で、表層材への負荷も抑えられる。

が結論。

理屈ともピッタリ合う結果で、個人的にすっきりしました。

因みに、この組み合わせはあくまでも、

直射日光が当たり続ける面(主に屋根)においてです。

壁は、直射日光(放射)による熱の影響が激減するので、

遮熱の効能が著しく下がると思っていた方が良いようです。

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