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浴室の窓が開いている

以前パッシブハウスジャパンさんの講演会の話を取り上げました。

テーマは住宅の換気。

講師の田島先生が、

嫁の実家(高知)に初めて行ったのは真冬でした。

夜になって、「お風呂どうぞ」となって入りに行くと、

浴室の窓が開けっ放し。

嫁さんに「これって、閉めて良いのかな」と思わず尋ねた。

と言う話がマクラでした。

当然、爆笑・・・とは言わないまでも、何らかのリアクションを期待していたと思うのですが、

会場はシーン。

個人としても(四国で)、先生の親の年代であれば、そんなものかなと。

逆に田島先生は(出生地は知らないですが)、比較的寒い地域の生まれかな?

と思ったぐらいです。

さて「窓は開けるもの」という概念は、蒸暑地方には普通にあります。

それは木造住宅は湿気に弱いと同義語だと思うのですね。

「水回りや密閉空間は、じめじめするもの」

  ↓

「だから、窓は全部開けて風通しを良くする」

という流れしか対処法が無かったのですから。

「夏を旨とすべし」とは、そういう意味なら納得です。

さて現在の住宅状況は、その時代とは大きく違います。

例えば、じめじめする代名詞だった在来浴槽(タイル張りのお風呂です)は、

ほぼユニットバスに切り替えられて、水回りだからじめじめする、という訳ではありません。

ですが、建物性能のバラツキが多いのも現代ならでは。

例えば、(普通の生活で)結露しない家を作るのは、今となっては簡単。

ですが公の仕組みは、それと逆行しています。

最悪なのは、気密という言葉を無くした事です。

以前も義務ではなかったですけど、

次世代仕様エネ基準(1999年という大昔)においては

気密性能を示すc値では、寒冷地2.0以下、その他の地域5.0以下。

という超大甘ですが設定がありました。

なおかつ、検査義務無しという抜け道付きですが。

・・・住宅性能の中で、唯一検査にて実証できる項目であるにもかかわらずです。

さて、そんな底抜け規定が、2014年の改定でどうなったかと言うと、

気密性能という言葉自体が無くなりました。

すごいです。

つまり、以前は「高気密高断熱」という文言がかろうじて使えていたのですが、

現在の住宅性能表示においては、「高断熱」としか謳えないのです。

なにせ、気密という項目がすぱっと無くなっているのですから。

この事によって、「建物の隙間は知らないよ」が国のお墨付きとなりました。

意識の高い工務店は、検査をして性能を確保しますが、

何せ、公が「知らないよ」という事ですから、多くの会社は行いません。

 

話が逸れました。

結露が無い家でしたね。

①高気密

②樹脂サッシと高性能な玄関ドア

③ダクト式24時間換気装置

この3つが揃えばOKです。

湿気に絡めて話すと

①高気密 → 外部から湿気が入ってくるのを防ぐ

②樹脂サッシ他 → 室内で結露するのを防ぐ

③24時間換気  → 家中の空気を循環させる

温度と違い湿度は、ほんの少しの隙間からでも入ってくるので

高気密は湿度対策の基本なのですが、それがルールに無いと・・・

厳寒期に浴室の窓を開けるのを笑い話にする日が来て欲しいのですが、

現実は厳しいのかも知れません。

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