- 2015年2月28日 11:55 PM
- デシカ日記
熱交換型換気装置には、全熱と顕熱があります。
ですが日本の多くは、「夏が高湿で、冬が低湿」なため、全熱換気が適しています。
理由をざっくりと。
全熱 家の中の湿度を保とうとする
顕熱 家の中の湿度を外の湿度と交換
という違いです。
実は、全熱換気に何の問題も無ければ、全ての地域で全熱で良かったのです。
ですが、「湿気を保つ」努力をすると「臭い」も残ってしまう欠点が。
ヨーロッパは外部湿度が(比較的)快適なため、リスクの高い全熱を捨て、顕熱が主流となりました。
ですが、日本では湿度に対する欲求が高く、全熱方式が・・・
という流れです。
さて、日本では全熱方式が主流なのですが、当然ながら「臭い」から逃れることはできません。
(現在、技術的には解決しているようですが)
なので、臭い問題を回避するために、特殊な方式を作り上げたのです。
それがタイトルに書いた、「ダクト+局所」併用換気。
ダクト式というのは、家中の空気をダクトで集めて一括処理する方式。(一種)
注 三種のダクト式も存在しますが、局所換気との併用には問題ありません。
それは、三種同士だからです。
なのに何故、局所(三種)と併用するのか?
その理由が臭い対策です。
臭いの発生しやすい場所を、ダクト式の換気経路から外してしまおう。
という、安直な考え。
これを国が否定しなかったおかげで、現在
ダクト式全熱一種換気+局所三種換気
という不思議仕様が、当たり前のように存在します。
何故、不思議仕様と決めつけるのかご説明します。
少し書き方が良くないところがありましたね。
ダクトと局所の併用が悪いのではありません。
先ほども書きましたが、両者とも三種換気なら良いのです。
問題は、一種換気と三種換気の併用が不思議なのです。
「ダクト式一種換気」は、家の中で圧力差が発生しません。
排気と給気をファンで行うのです。移動する空気量はイコールとなります。
一方局所の三種換気は、排気だけなので、家の中を負圧にします。
つまり、どこかから自然給気があるのが前提です。
(以前主流であった、ダクト式三種換気の場合は、自然給気口が別にありました)
ですが、建前が一種換気。
なので局所の三種換気を付けても、三種用の自然給気口を作りません。
たまにしか使わないからOK。という感じなのでしょう。
では、局所換気を動かした時の給気はどこで行われるかというと、
住む人が窓を開けない限り、建物の隙間からの漏気です。
気密検査の義務化どころか、
気密確保自体を国の指針から外した理由がこれでは?
と疑ってしまいたくなります。
なぜならば真面目に気密を確保したら、局所換気は役に立たないどころか、トラブルにもなるのです。
トラブルとは大げさな表現?
いえいえ、そんなことはありません。起きうるトラブルを上げてみます。
正しい高気密住宅で負圧が発生すると
気密の悪い箇所(扉や窓)から逆流する風切り音が発生する。
玄関扉や勝手口扉が開けづらくなる。
エアコンのドレイン管から外気が逆流する。(エアコン内部の臭いが室内に)
配水管から下水の臭いが逆流する危険性がある。
そんなリスクを背負ってまで全熱方式にこだわるメリットはあるでしょうか?
局所換気が付く場所は、トイレや浴室です。
臭気や湿気が発生しやすいので、こまめに換気されます。
と言うことは、それだけ外気がどこからか入ってくることになるのです。
つまり温度と湿度は、局所換気を使用する分だけ失われるのです。
顕熱を全熱に切り替えたプラスがどれだけのものか解りませんが、
「全熱+局所」よりは、顕熱一本の方が理にかなっていると思います。
順位を付けると
①全熱 > ②顕熱 >>> ③全熱+局所
だと思います。
これは方式としての優劣を検討したものです。
特に①と②の差は機器の出来で、簡単に逆転されます。
CACICOとしては③だけはお薦めできませんので、「>」を3つ付けておきました。
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