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熱交換換気装置の功罪

住宅のオーバーヒートの話を書いたのですが、その続きでもあります。

前回の話をまとめると

断熱性能を上げることによって冬場は快適になるが、夏場のオーバーヒートが課題になる。

そのためには、日射取得のコントロールが大切。

おぉ、二行で終わってしまいましたね。

結構時間かけて書いたのに・・・

さて現在の住宅は、「24時間換気装置」が義務づけられています。

目的は建材等に含まれるホルムアルデヒド等の化学物質を除去する事です。

2時間に1回、家の中の空気を入れ換えるというルールがあります。

ホルムアルデヒドを持ち出すまでもなく、

人間が居ること自体で空気は汚れる(二酸化炭素 が増える)訳ですから、空気の入れ換えは必須。

ですが、

「せっかく室内を暖かくしたのに、外気と入れ替えたら寒くなる」

との考えも間違いではありません。

そこで出てきたのが、タイトルの熱交換換気装置です。

室内の汚れた温度の空気を、外気に移して導入する。

筋が通っていますね。

この熱交換の方式にも種類がありますが、今回は割愛します。

で、この熱交換換気扇が正しく運用するには、大原則があります。

それは

「室内は快適である」

というもの。

何を言っているの?

という感じかも知れませんが、もう少しお付き合い下さい。

ずーっと寒い。ずーっと暑い。

という気候であれば、何の問題はありません。

例えば北海道の1月、2月。

部屋の内部温度と外気温は、どんな場合でも家の中が(比較すれば)快適です。

ですので換気扇は、熱交換した方が良いのです。

先程の「室内は快適である」というルール通りです。

では違う例を、現在のうどん・・・いや香川県。

日中は、おいおい、って言いたいほど暑いですが、夜は涼しかったりします。

このように、一日の寒暖の差が大きい時が問題なのです。

日中に、人が居ない家を例に出します。

〇日中

人が居ないのでエアコンをかけませんし、窓も閉めています。

換気扇は、室温を守るよう努力します。

ですが、少しずつ室温は上がっていきます。

〇夕方から夜にかけて

外気温は低下し、快適な温度まで下がります。

その時の室温はどう変化するでしょうか。

建物の内部ですから、外気温のように急に低くなったりしません。

日中の室温上昇が止まる程度でしょう。

ここで北海道の例と大きく違う状況が発生します。

閉めきった室内より、外気温の方が快適。

という事態です。

で問題は、この時の熱交換換気装置なのです。

換気扇自体は、「暑い、寒い」を判断しません。

ただひたすら、室温を守ろうとするのです。

ですから、暑い室温を「残そう、残そう」と努力します。

夜遅く帰ったご夫婦(すいません、勝手に状況作っています)は、「家の中が暑い」ので、まず窓を開けることになります。

「快適になる」と考えて導入した設備が、逆の方向に働いているのを知ることはないでしょう。

 

これが特殊な事例であれば良いのですが、

一日の中で、「暑い→寒い」の移動がある季節は結構多いです。

それが春と夏です。

快適な季節としての「春、夏」は少なくなりましたが、

「快適~不快」を行ったり来たりする季節としての「春・夏」は長いです。

具体時には「日中暑いけど、夜は涼しい」時期ですね。

このような気候に対応できないのが、熱交換換気装置なのです。

特に問題なのは、先日のオーバーヒート現象が、この状況をさらに悪化させる事です。

困ったものです。

 

もちろんメーカー側もそのような状況は把握しています。

ですので上記現象に対応する商品も、すでに発売されています。

バイパス回路を持っていて、

内外の温度センサーを元に、熱交換の有りと無しを切り替えるのです。

快適への道は、なかなか険しいです。

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