- 2017年6月4日 6:17 PM
- 「かしこい家」の性能
鉄筋コンクリートのおさらい。
構造としては、
圧縮に強く、引張に弱いコンクリートと、
引張に強く、圧縮に弱い鉄筋を
掛け合わせたものです。
つまり
圧縮に強いが、引張に弱いコンクリートを、引張に強い鉄筋で補強して、
構造体としての自由度を大きくした。
といった所でしょうか。
確かに自重を軽量化し、複雑な形状を可能にしたのは、鉄筋のお陰ですが、
その見返りとして、
鉄筋の寿命=鉄筋コンクリートの寿命
という十字架を背負うことになった。と言うのが今回の骨子。
鉄筋コンクリートの世界でコンクリートは鉄筋を保護するものです。
なので専門用語で「かぶり厚」と言うのですが、
鉄筋を覆っているコンクリートの厚さが、建築基準法で規定されています。
因みに、「鉄の寿命」と言うのも解りづらいですよね。
簡単に言うと、鉄は錆びると終わりです。
錆びた鉄は、鉄本来の性能、つまり引張力が担保されなくなりますが、
もう一つ恐いのは、鉄は錆びることにより、その体積が2倍以上に膨れ上がる事です。
コンクリートの内部で、鉄筋の体積が2倍になる。
と言う事は、コンクリートが内側から強い圧力を受ける。
外部からの力は圧縮方向ですが、内部からの力は引張方向となります。
つまり、錆びた鉄筋は、コンクリートの苦手な引張の原因となるのです。
結果、鉄筋表面のコンクリートが圧力に耐えきれなくなって破壊されます。
これを、業界用語で「爆裂」と言います。
爆裂って単語、普通は爆裂弾(爆薬の古い言い方)のような戦争や武器で使う言い回しですが、
それが該当してしまうほど、酷い外見になってしまうのですね。
鉄筋が錆びる原因は、大きく2つ。
①塩害
②中性化
です。知識がないため詳しい説明は出来ませんが、
①塩害
塩は金属にとって大敵です。海に近いと金属は錆びやすいですよね。
②中性化
はもう少し理系的な説明に挑戦。
コンクリートの初期は強アルカリ状態で、この中にいると金属は保護されていて錆びません。
(理由は聞かないでください)
ですが、時間と共に空気中の二酸化炭素等の影響で、コンクリートはアルカリから酸性に変化していきます。
これをコンクリートの中性化と言い、
酸性化したコンクリートは、鉄を保護しなくなり、結果錆が発生するのです。
面白いのは、塩害にしろ、中性化にしろ、
コンクリート自体の性能には何の影響も及ぼさない事。
ローマン・コンクリートで作られたパンテオンの長寿命が、これで分かります。
構造体に金属を使っていないからなんです。
さて、鉄筋コンクリートはそういう訳にはいきませんから、
塩害や中性化と対峙するしかありません。
コンクリート自体は長寿命だけど、鉄筋コンクリートはその限りではないのです。
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