- 2015年10月9日 8:23 PM
- 「かしこい家」の性能 | デシカ日記
9月の日経ホームビルダーで、基礎断熱におけるトラブル事例が特集されていました。
題して「初めての基礎断熱 ココが危ない!」
基礎断熱の採用率は、2012年で11.9%。
北海道では50.5%ですが、うどん県が含まれる四国では、たったの3.6%しかありません。
他に普及率が低い地域は、東海4.8%、近畿5.5%。
面白いのは九州・沖縄が13.5%もある事で、
寒すぎる又は暑すぎる地域に採用率が増えている事が分かります。
さて、とは言っても平均11.9%なのですから、多くの人が「初めてのおつかい」状態。
注) 因みに、それ以外の住宅は床断熱という工法
新しいチャレンジにはトラブルが付きもの。
基礎断熱の事故は大きく分けて
①シロアリの発見が遅れる
②カビ・結露のリスク
雑誌も主に②を扱っていましたし、
CACICOとしても、事後の対応が難しいカビ・結露の話が気になります。
基礎断熱には2つ工法がありますので、まずは図解から。
基礎内と基礎外の二つです。
統計が無いので私見ですが、基礎内断熱の方が圧倒的に多いです。
理由は、
シロアリ対策だけを考えれば、内断熱の方が有利側だから。
と言うのが大きいですね。
後、外断熱を採用する場合は、
「基礎仕上げ材の変更」が必須なのも大きいかも知れません。
内断熱の変更点は見えない所なので導入しやすいのです。
さて話をカビ・結露リスクだけに絞ります。
事例の特徴としては
竣工後1~2年と築年令が浅く、
特に春先から梅雨時に引き渡した住宅が、夏期に顕在化することが多い。
という所ですね。
大きな原因を抜き出します。
①初期においてはコンクリートの含水量が多い
②床下の換気不足
③室内環境が高温多湿
④工事中に入った雨等の水分が除去しきれていない
④は工事中の管理問題なので除くとして、基本は①と②の合わせ技です。
高温多湿な季節+コンクリートの水分量が多い+換気していない
という組み合わせ。
基礎断熱は床下も室内環境です。
と、説明しつつも換気をしないのは、
換気の認識にズレがあるから。
24時間換気の目的は、「空気を綺麗に保つ事」。
なので建築基準法的には、
居室(人が長期に滞在する部屋)だけが換気の対象なのです。
廊下、押し入れ、玄関、トイレ、浴室などは換気する必要が無い。
注) トイレや浴室に換気は付いていますが、義務ではありません
ダクト式換気を選択している家は、一台の機械で換気をするため、
計画が悪くて空気溜りのスペースが出来る事はあっても、
基本、家中の空気を動かす事になります。
一方局所式換気を使う家は、居室に換気を付けるだけ
なので、先ほどの換気不要リストに
一行、床下を追加して終わり。
床下は居室ではないから、24時間換気の対称空間では無い
だから、換気は不要と思い込むのです。
ですが床下は、24時間換気としては不要でも、
トイレや浴室と同じく、換気が必要な場所なのです。
何故かと言うと、
鉄筋コンクリートの窓の無い部屋だから。
水蒸気を吐き出す部屋なので、その対応が不可欠。
さて話が混ざりそうだったので、③を取りあげていませんでした。
まずは文中から関連したところを抜粋します。
"室内の空気が引き起こす結露もある。
梅雨時から夏期にかけて、エアコンを使わずに過ごす住宅で生じやすい。
高湿な空気で室内が満たされ、その空気が床下に流入する事が原因になる。"
ちょっとミスリードされやすいので、CACICO的に書き直します。
室内の空気が持つ「水蒸気」が引き起こす結露もある。
梅雨時から夏期にかけて、エアコンを使わず過ごす住宅で生じやすい。
高湿な空気で室内が満たされ、その水蒸気が床下に流入する事が原因になる。
ドコを変えたかというと、「空気」の流入ではなく「水蒸気」の流入なのですね。
正確には、室内と床下の水蒸気が均一になろうとするのです。
これは、記事中の別センテンスで書かれていますが、
地中の温度は外気温より数ヶ月ずれて推移するため、春先から初夏にかけては、基礎が冷やされている。
からです。
室内より低温である床下に、室内の高湿度(だけ)が流入する。
これが③が想定する状況。
床下が換気経路に組み込まれていたら、温度も流入します。
CACICOの結論は、
床下は窓が無い居室。
そう認識する事で、多くのトラブルが回避されるのです。
- 新しい: 鶏もも肉のソテー
- 古い: 逆転結露と通気層 その2