- 2015年8月7日 8:27 PM
- CACICOの毎日
先日自衛権ネタを書きましたが、その中で集団的自衛権が違憲かどうか?
という話をスルーしました。
ですので、その話をまとめます。
まずは話題の中心である憲法九条から。
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
第二項
前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
憲法とか法律の文章って分かりづらいです。
異論がある事を承知でまとめると、
第一項は、国際紛争を解決する手段としての戦争を放棄する。
第二項は、前項の目的のための軍事力を持たない。
ですね。
で、1行にまとめると
国際紛争を解決する手段としての軍事力をもたない。
だから平和憲法と言っているのです。
普通に、「えっ、自衛隊って軍隊じゃないの?」という疑問が出ますよね。
ポイントは、第二項の頭にある前項の目的のためのという一文でしょうか。
前項、つまり第一項の目的とは簡単に言うと、国際紛争。
国際紛争解決以外の軍事力行使なら良いよ。
って解釈できるのです。
最も日本国憲法は、GHQが英語で書き、それを頑張って日本語訳したものですが、
初期の案では、「前項の目的のための」という文言はありませんでした。
一番初めはこんな文章
第九条
国の主権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、他国との間の紛争の解決の手段としては、永久にこれを抛棄する。
第二項 陸海空軍その他の戦力の保持は、許されない。国の交戦権は、認められない。
これなら、軍事力は完璧に憲法違反です。
ですが「前項の目的のための」という一文を、後から付けた日本人がいるために
自衛のためなら良いんじゃない?
と言う話になっているんですね。
政治上の争点は
① 自衛のための軍事力(自衛隊)は違憲か
② 自衛のための他国との条約(日米安保)は違憲か
③ 集団的自衛権は違憲か
と年代に応じて変遷しました。
始まりは当然①ですよね。
武力を持つのは憲法違反。つまり非武装中立が憲法の趣旨だ。
という主張です。
この主張が完全に打ち止めになったのは実は結構最近で、1994年の事。
現在の社民党や民主党の前身である、社会党の村山さんが首相になった年。
社会党は政権を取った途端に、手のひらを返して「自衛隊は合憲」と表明。
なので国会で最も強硬意見でも、自衛隊は違憲だが、現状は容認する、というもの。
さて時代は相前後しますが、日米安保にまつわる、安保闘争なるものがありました。
1960年に第一回目の安保闘争。所謂60年安保と呼ばれるもの。
その後、安保の期限である10年が経って行われたのが、70年安保。
で、これを焼き直したかのように行われているのが、
現在の集団的自衛権反対運動です。
当時は、日米安全保障条約を結ぶと、日本がアメリカの戦争に巻き込まれる。
現在は、集団的自衛権を認めると、日本が他国の戦争に巻き込まれる。
いゃあ、まったく一緒ですね。
運動母体が同じなのですから、当然かも。
さて次は、集団的自衛権と憲法の関係、つまり司法の判断です。
司法の歴史では、
「軍備を持つのは違憲か合憲か」、「安保は違憲か合憲か」
という争いが、色んな形で提議され、最高裁まで争った事も多いです。
その結審は概ね。
高度に政治的な問題なので、司法の判断する事ではない
でした。
ぱっと読むと問題を回避しただけです。
ですがちゃんと理屈があります。
「高度に政治的な問題」と言うのは、
「自国内で終わらず、他国が絡む」、つまり国家間の懸案を指します。
当たり前の事ですが、日本国憲法の効力は日本国内に限定されます。
で、その効力があるのも、日本という国が独立しているからです。
他国に侵略されてしまうと、日本国憲法には何の効力も無くなります。
つまり、憲法とはものすごく内弁慶なルール。
だから
国の存亡に関わる問題に関しては、司法は口を挟まない。
国が無くなったら元も子もないのでヨロシク。
ってとこでしょうか。
この様な考え方を統治行為論と呼ぶそうです。
前回も書きましたが、集団的自衛権は国連憲章で認められた権利。
日本も集団的自衛権は持っています。
持っているけど、行使しないと言う事を閣議決定しているだけなのです。
ですがCACICO的には、
他国との安全保障条約(日米安保)は、集団的自衛権じゃない。
と言うのは無理筋。
予算出して、基地提供して、軍事演習一緒にして、
それで集団的自衛権は行使していないと言い張られてもねぇ。
日米安保が政治的に認められ
(民主党政権が認めたので、反対は共産党だけかな)
司法的には統治行為論によって門前払い。
現在既に集団的自衛権を絶賛行使中なのですが、何か問題ありますかね。
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