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2012年4月17日のアーカイブ

全量固定価格買取制度(フィードインタリフ)の現状

再生可能エネルギーの「全量固定価格買取制度」(FIT)というものがあります。

ドイツで2000年辺りから始まって、ユーロ圏を中心に大きな広がりを見せていました。

対して日本の制度は、「余剰分買取制度」と言って、個人が使用した残りの電気だけを買い取ります。

発電した電気を高値(国によって差があります)で、全量買い取ってくれる訳なので、

売る方にしてみれば結構なことなのでしょうが、その差額は誰かの負担です。

日本でも、借家経営者が共有施設(常夜灯等)のみつないで、発電のほとんどを売電するという

「ほぼ全量買取」にするというテクニックが横行しています。

経済の原則から言えば、誰かの利益は誰かの負債です。

一般的に、その負債は電力会社が被らず、「太陽光発電促進付加金」という名称で、薄く広く全員が負担します。

つまり、太陽光発電を持たない需要者の負担が一番大きいという事になります。(電力会社の社員も含めてです)

さて日本も今年度から全量買取に移るらしいですが、改めてFIT先進国の現状を確認したいと思います。

ドイツ

全量買取制度を2013年から廃止

ここ数年、買い取り額を下げ続けてきたドイツですが、とうとう全量買取を断念して、8~9割程度の買取に移ります。

最新の情報で、廃止法案は下院を通過して、上院の決定待ちの状態です。

ドイツの付加金は1kWあたり3.592ユーロセント。日本円換算で3.66円。これは日本(0.5円)の7倍強です。

月額の世帯負担が標準家庭で1000円を超える額まで達しているため、仕方ない決断だったのでしょう。

スペイン

2009年から年間500MWの買取制限を設けているので、全量買取は終わっています。

それどころか今年の2月には、再生可能エネルギーへの補助金停止(英文)が決定しました。

思いっきり意訳しますね。

再生可能エネルギーの補助金停止を議会が承認。FITによる240億ユーロの負債が解消されるまで、買取価格上乗は中止。

って書いているみたい(Googleさんありがとう)。 

日本円で2兆5千億円の負債があるようですね。

電力価格の上乗せが規制されて電力会社が赤字。それを国が補填したのですが、額が多すぎてお手上げという感じです。

イタリア

太陽光発電の導入量が急激に増加。2011年度内に、2012年の6月以降分のFIT補助金枠を使い果たす

ノーコメントで・・・

イギリス

政府の打ち出した助成削減案が訴えられて敗訴。

英政府が昨年10月末に公表→12月12日に実施した買取額の半減案が、違法と判断。

確かに1ヶ月半の猶予は短いですが、それだけ切羽詰まっていたのでしょう。

フランスも同様に買取の制限を加えており、ユーロ共通の展開としては

高額の買取設定→投機対象で大幅な増加→政府が赤字でお手上げ

というところでしょうか。

 フィードインタリフを一番良く表現すると、「良い世の中にするための補助金」だったのでしょうが、

「補助金」で成り立った商売は、「補助金」終了と共に終わるのかも知れません。

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